2枚の布を繋ぎあわせて仕立てる棺衣の、その繋ぎ合わせ目を刺繍ではなくて、ダマスク織りの金色の帯で装飾することになりました。

20年以上に前に織った棺衣の生地と同じ糸を倉庫から探し出しました。

ペルー産の絹のような光沢のある綿糸です。

この糸を藍染するのですが、その前に糸をアルカリ性の液で煮洗いして、藍が糸によく入るようにしておきます。

仕事場の片隅にある、藍染液の入ったポリ容器。

アルカリ性の水で乾燥させた藍の葉を溶かしたものが入っています。これに還元剤を加えてアルカリ度を調整すると、藍の成分が染織可能な状態になるのです。

藍の成分が水に溶けだす環境を還元作用とアルカリ度で作らないと、藍は染まる状態にならないのです。環境が整うと藍の成分は水に溶けてホワイト・インディゴとなり、それが糸に付着し、糸を絞って空気に触れるとホワイト・インディゴが酸化して藍色になるのです。

液は、中は茶色ですが、空気に触れている表面は藍が酸化して藍色の薄い膜がはり、かき混ぜるとそれが集まって泡のようになります。

糸をそっと藍液の中に入れて、2~3分浸してから、引き上げると・・・ 空気に触れて茶から緑になってゆきます。 そして一気に固く絞り、はたいて空気に触れさせると・・・ 糸は藍色になります。

染めたいと思っていた濃度の藍色に、なんとか染めることが出来ました。

濃度は液に浸している時間ではなく、絞っては空気に触れさせて発色させる、その回数で調整します。

大好きな藍色、Indigo Blue ☆

じっと見ていると、その中に吸い込まれそうな色、海の色、空の色 ☆

染まった糸はよく洗ってから乾燥させ、次に糊付けして、それから使います。長い織物の作業の一つのステップが無事終わりました。