9月になって急に涼しくなりました。

↓ 8月31日の早朝の景色

この1週間、毎日毎日古い着物を解いて、洗い、アイロンをかけて、干す、を行っていました。古い着物で袈裟を作るためです。

8領済ませましたが、全部袷だったので倍作業した感じです。

解いて洗った着物、私が以前古い着物を草木染した端切れ、クリーニングしてしまってあった着物・・・

袈裟が作れそうな着物をあれこれテーブルに並べ、何日も眺めて考えました。この古い着物を生かしてどんな袈裟がつくれるだろうか?

お釈迦様は、墓地や往来に捨ててあるような人の見向きもしない汚れた古布を7回洗って、更に濃い地味な色に染め、それをはぎ合わせて袈裟にし僧侶のユニホームとしたのだそうです。袈裟は身に着けるだけでなく、夜はそれを敷いたり被ったりする寝具にもなり、1枚の布で全てが足りるの発想です。「袈裟を縫う会」でも、材料は檀家さんの古い着物や、オークションで買った古い反物です。かつてある老師が「袈裟は布の成仏である」と言われたそうですが、本当にそのような気がします。

宗派によって違うのですが、私が袈裟作りを習っている曹洞宗では、一つの例外を除いて袈裟に使う生地は基本的に無地です。今回着物を整理して無地で袈裟に適した着物があまりないのが分かりました。試しに格子の布団生地に藍をかけてみたのですが、格子が消えて無地にはなりません。

ご先祖様の着物を色々使うには、一つの例外の ↓この袈裟しか無いのが分かって来ました。

こんな風に、土台の布の上に色々な布の切れ端を散らして、それを刺し子で止めて袈裟にする方法で、「糞掃衣・ふんぞうえ」と言います。

無用になった古布を集め、洗って、重ね、刺し子して作る「糞掃衣」は正に布の成仏、法衣屋さんでは買えない袈裟です。でも大変時間がかかる仕事で、普通は檀家さんや尼僧さんが手分けして作業するようです。

↑ 「お袈裟を縫う会」にいらしている、他のお寺の僧侶の一人が制作中の「糞掃衣」です。少しずつ何年もかけてお一人で縫っておられます。。

薄い絹の芯地の上に、地模様のある金茶色の表地を重ね、その上に色とりどりの端切れを散らし、薄茶色の絹糸で刺し子縫いされています。

私はご先祖の古い着物を使ってこの「糞掃衣」を作り供養をしたくなりました。最初の1枚は横浜の義実家の檀那寺に、次は故郷飛騨のお寺に寄進出来たらと思うようになりました。

未だ織物再開の心身まで回復していない私ですが、膝の上で行える袈裟作りなら大丈夫です。心静かに袈裟を縫って心身を整えて行こう、そうすれば自然に織機に向か会える日がやって来る、そんな気がするのです。