糞掃衣完成2 の続きです。

桐箱に納められている数寄屋袋を開くと・・・

作法通りに中表に畳まれた袈裟が入っています。

大きな長方形の袈裟を、縦方向に3回二つ折りにしてから、緯方向に1回二つ折りして三つ折りにしてあります。

緯方向を開くと・・・

このようになります。見えるのは裏ですが、裏地が絹のオーガンジーなので、刺し子縫いされた表側の裏が透けて見えます。

次に縦方向を開くと・・・

糞掃衣の袈裟の表側が表れます。

この袈裟は九条なので、縦方向にユニット九列で構成されています。緯方向は七条から十三条は三段で、この袈裟は合計27枚のユニットの布を継ぎ合わせ仕立てられていてます。

広げるとこのようで、大きさは縦が125cm 、緯が209cmです。

大きさは袈裟を着ける僧侶の体格に合わせて決め、この糞掃衣を着ける僧侶は身長165cm中肉中背の方なのでこの大きさになりました。

糞掃衣はご覧のように全面刺し子です。

一番上に模様にもなる布・その下は表地・その下は芯地で、この3枚を重ねて刺し子縫いしてあります。それは古くて弱っている布を、袈裟として使える丈夫な布にするためにです。

糞掃衣に限らず、本来袈裟は古布を集め,洗い、染め直し、小片に切ってから、それを繋ぎ合わせて作るもなのなのだそうです。それは表面的な美しさに迷わされるのを避けるためで、仏弟子の衣服が、ねたみ・ぬすみ・あなどり・おごり等々の過ちを生む元にならないよう、わずかな罪も生ぜしめないように、最善の工夫と行き届いた心遣いが要求された結果との事です。

故沢木興道老師監修の「袈裟の研究」に ・・・袈裟は僧侶の衣服ですが、それはたんなる「衣服」ではなく、「仏衣」であり「仏身」「仏心」として受け取られるべきもの、つまり仏様の教えそのもの「仏法」そのものである・・・ とも書かれています。