昨日は9月の袈裟の会でした。毎月の日は決まっていないのですが、決まっているのは「仏滅の日」であると言う事。予定が決められないお坊さんの仕事が一番少ない日です。

お寺は三島市の田舎にあり、周りの田んぼの稲の穂が金色になっていました。

もう秋です。

この夏、ご先祖様の着物を整理して、袈裟に使えそうな着物を解いて洗って、糞掃衣候補の着物地の組み合わせを散々考えて・・・選んだのがこの組み合わせ。

ベースになる生地は、卍模様が織り出された緑色の綸子。

ベース地の上に散らす山形の布は、住職さんに相談して・・・

この縮みがある絽地に、緯糸絣のカタバミと染の矢絣模様の夏の着物、これ一種類だけにしました。

そして縁取りのような(縁と葉と言います)部分は、袴の生地を使う事にしました。

灰色がかった茶色で、ベースの緑と調和します。

次は刺し子縫いする絹糸の色選びです。住職様が出して下さった色々のメーカーの絹手縫い糸の見本。でも和裁の糸の需要が減って、色見本にあっても無い色が多く、値段もドンドン値上がりしています。

ご先祖の着物を散らして刺し子する糞掃衣、散らす布が生える色の表地にする着物がなくて、それだけヤフオクで手に入れました。競争相手がいなくて最低の値段で落札。その値段は刺し子する縫い糸の1/20位の値段でした。戦前は繭から糸を1本取ってそれを18本合わせて最初の糸にしていました。戦後それが21本合わせて1本になり、絹糸の最小単位が太くなりました。戦前の着物は軽くて繊細です。

着物の文化が日本から消えて行こうとしているのを感じます。「布の成仏」として、古い着物で今袈裟を縫うのが、タイムリーな気がして来ました。