倉庫に積んであった箱のから出て来た、このあでやかな絹地
布団皮です。
昔、家にあった布団を整理した時、とても美しい絹地だったのでとってあったのです。私が生まれる前に亡くなった父方の祖母の持ち物、多分100年ほど前の物だと思います。
手縫いの布団でした。 ほどきながらその手縫い糸の美しさに感動してしまいました。現在の絹糸のように突っ張って扁平でなく、フックラと艶やかなのです。昔は紡績のスピードもゆっくりで、糸にテンションがかからず、こんな糸が出来たのでしょう。
中の綿は外して布団皮だけ保存してあったのですが、生地に綿埃が着いていて作業中クシャミ、マスクをして作業は暑いので、掃除機で綿を吸い取ってからほどく事にしました。掛布団の下側は薄い黄色い木綿の布、そこに着いた綿はなかなか取り除けません。
丁寧にほどいた布団皮を、今度は注意深く水と洗剤で洗いました。
紫色の色落ちが酷く、色が無くなってしまうのでは?と思う程。
濯いで脱水して、色が滲まないように直ぐアイロンをかけて乾かしました。
結果は? ↑ ご覧のように全体に色味は薄くなりましたが、元の段代わりの縞は相変わらずあでやか、
絹糸の外側を覆うセリシンを製錬であまり取り除いていない、乾くとパリッとしてセミの羽のような感じの布です。
掛布団の下側に使われていた木綿の布、これは機械織ですが、丁寧に機械を調整してゆっくり織られたのでしょう。今の機械織の布のように紙のように扁平で突っ張っていません。
布団皮をほどきながら、会った事がない祖母の事を考えてしまいました。今我が家にある春慶塗の箪笥は彼女のお嫁入り道具、その上に洗い終わった布団生地を置いて写真を撮ってみました。