リビングに並べた私の昔の作品

先週、私が歩んできた道をお話する機会がありました。その会場の入り口に作品を展示の依頼があったので、倉庫から昔織った作品を出して選んでいたのです。

これらは初期に織っていた「昼夜織」と言う、帯に使われる技法で織ったものです。

経糸の密度が高くて、緯糸は殆ど見えません。

織り出されている模様は、色の違う経糸の偶数奇数の組み合わせで表現されます。

表と裏で表面に出る経糸が逆になるので、模様の色が逆転します。なので「昼夜織り」なのです。何千本という色の違う経糸を1本も間違えずに織機にセットするのは大変な重労働で、若い時にしか織れない織物です。

この布の裏側は・・・

こんな風になります。

講演会のスライドショーの準備に予定以上時間がかかってしまったのは、自分が今までに行って来た事があまりにも多くて、整理するのが大変だったからでした。

織物、介護、結婚、ベジタリアン、野菜作り、3.11以後は健康と平和の草根活動・・・ 人生に起こった色々な事に精一杯にベストを尽くして来ましたが、月日の過ぎるのはあっという間です。

今年スエーデンの織物の恩師が他界して、その葬儀に使われる棺衣を持って久し振りに尋ねたスーデン。恩師が教えていた大学での織物学科は無くなり、テキスタイルは医療や健康などの新素材開発に力を入れていました。私が学んだ織物を教えている処はもうないのを知り、自分が博物館ものになった気がしました。

ここ伊豆の仕事場に眠る1トン近い藍に染めた糸。素晴らしい本藍の糸染めをして下さったこの紺屋さんも途絶えしまいました。自分の命が途絶える前に、この糸と学んだことを花開かせたい。

昨秋恩師の葬儀のための織物を始めた時から少しづつ考えていたのですが、本格的に本業の織物を再開する決心がつきました。

今年ももう半分が過ぎてしまいました。「光陰矢の如し」今すぐ始めないと、あっという間に時が過ぎてしまいそうです。