横浜の家の修理が進んでいます。工務店さんからの報告によると、今週は、外壁左官のための下地づくりが進行中との事です。

その外壁の左官材の色見本を見に、私達は連休中、工務店さんにご紹介いただいた沼津市にある渡邊左官店さんを尋ねました。 今日はその左官屋さんのギャラリーのお話です。

以前はお住まいだったという家が、今はこんな左官ギャラリーになっています。

左官屋さんの三代目の若いご夫婦が力を合わせて創った、手作りの左官ギャラリーです。

玄関を入ると、4つの違った床が目に飛び込んできます。

木の床、石のような床、真っ白な床、チャコールグレーの床。石風、白、グレーの床は、古い床に下張をして、その上に左官をした床です。

この床は、一面に左官を塗った後、石のような凸凹を彫った型を押し付けて、このようなテクスチャーを出し、そこに色を塗ったとの事。「パリの石畳のような雰囲気にしたかったのです」と、若奥様。

隣の真っ白な床の部屋は、白い床の反射で部屋が明るく、空気まで軽く感じられます。

シックなチャコールグレーの床。床の色で部屋の雰囲気がガラリと変わります。

この白いレンガの壁は、煉瓦でなくて、白い左官の壁を塗った後、手作業で筋を入れてレンガ風にしたのだそうです。

手作業ならでの面白さ、柔らかさ、白い壁がこのように表情のある壁になるのですね。

白い床の部屋の白い壁に描かれたバラの花。これは描いたのではなくて、色漆喰を白漆喰の中に埋め込んで模様をつけたのだそうです。境目の色が混じらないように手当しながら塗り込めるのは簡単ではないとのお話でした。

白い床の部屋の、この丸いテーブルも左官で作ったテーブルです。

白い左官材料に小石や色々なものを混ぜて塗り、後で磨いて作ったとの説明。よ~く見ると・・・

七色に光る美しい小片。 三代目ご夫妻が近くの海岸で拾ってきた ☆貝殻☆ です。

石畳の部屋には、赤い不思議に素敵なシンクがあります。

木で形を作って、その上に左官を塗って仕上げたシンクです。

これらの左官の材料は、人体に無害なものだけで作られていて、赤ちゃんがなめても大丈夫なのだそうです。

私はこのシンクを見て、以前同じようなシンクを見たことがあるような気がしました。

それで左官屋さんの若奥様に「どこかで、同じような感じの青いシンクを見たことがある気がするんです。多分、去年、会津かその辺で・・・」 若奥様「それ、那須ではないでしょうか?」 私「そう、野菜が美味しいレストランに・・・」 若奥様「入口にヤギがいませんでしたか?」 私「いました☆ 犬小屋みたいな小屋の中に座っていました」

昨年の夏訪れた、那須にあるそのレストランです。

このレストランは、若い仲間が力を合わせて手作りで作った建物なのです。

これが、その青いシンクです。

訪問前レストランのサイトで、大規模なエコロジーなシステムの浄化槽を自分達で設置するところから始まり、プロの手も借りながら自分達で大工や壁塗りをした事を知って、期待に胸を膨らませて訪れたOur s Dining。色見本を見に紹介いただいた左官屋さんご夫妻も、このレストランを訪ねていらしたのです。

家を建てるより除染が一番大変だった事。 この床も左官で、時間の関係でひと手間スキップしたら後でヒビが出たと話されていました。テーブルも窓枠も廃材利用です。 このレストランの外壁は、私達が横浜の家に塗ろうとしている外壁材と同じなのを、今回知りました。

渡邊左官店さんは2年前に経営難に直面なさいました。左官屋は全うな壁を塗っていればよいという二代目、でもその塗る壁がない。それで三代目ご夫妻は、今までの塗り壁の常識から離れた、外国の自由自在な左官の世界へ、思い切って踏み出されました。そして徐々に理解を得てこの春、夢だったイタリアでの左官の展示会へご夫妻で行き、研修まで受けていらしたのです。

困難な時を乗り越えて、こんなに素敵に生きている人たちがいる。今までの常識にとらわれない新しい発想で、自由で美しく健康な世界をイメージし、それを実現している人達がいる。 未来が明るく感じられて、嬉しさで一杯で元気が出てきました。