ほぼ完成した袈裟を持って飛騨へ墓参と参拝に行って来ました。

出かける前の晩まで縫っていたので朝起きられるか心配で、iPhoneの目覚ましは時間をずらして2回セット、更にアマゾンエコーでもセット。無事目が覚めて早朝に家を出ました。

伊東線、新幹線、高山線と乗り継いで、美濃太田を過ぎる頃から空が暗くなって雪が降りそうな気配になって来ました。

駅まで迎えに来て下さった宮司をしている”従いとこ”のSさんの車で、祖母の実家の気多若宮神社へ向かいました。

社務所でスーツケースを開け、持って来た袈裟を広げてたたみ直し、それを三方にのせ先に神前に供えて頂きました。

この「糞掃衣・ふんぞうえ」の山形模様の生地は、この神社の側で育った祖母の着物、私は神様にお見せしてお礼申し上げたかったのです。

暫らくしてSさんの準備が整ったので本殿へ。そして袈裟を供えた神前に向かい、私の今後の家内安全と織物製作の成就の儀式を行って頂きました。。

儀式の後Sさんと。

外は雪になりそうな雨なのに、社務所も神殿もストーブを焚いて待っていて下さったSさんご夫妻。お二人の温かいお心遣いに私は感謝の気持ち一杯でした。本当に有難うございました。

翌日は、祖父に縁ある神社とその側にある平澤家のお墓を参りました。

銀杏の落ち葉の黄色で輝く参道の向こうに、雪囲いがされ冬を迎える準備が終えた本殿が見えます。

本殿の階段に袈裟をポリ袋に包んだまま置いて、私は一人静かに祈りました。清らかな空気、時間が止まったような静けさ・・・

3度骨折をして腎機能も落ちて、もうテキスタイルの仕事に復帰出来ないかもしれないとも思った私。それがご先祖様の古い着物で袈裟を縫う事を思いつき、1年かけて完成出来たのです。

「袈裟は布の成仏」とも言われます。過去の布をこうして成仏させて、私は新たな制作の出発点に立った思いが込み上げて来ました。

祈り終えて、ふと本殿の裏山を見ると・・・

青く輝いて夢の世界の様に見えました。

本殿の横のモミジも輝きだし・・・

雪になりそうな雨で濡れた葉は、透き通るようにも見えます。

すると雲の間から太陽が顔を出し、モミジが輝きだしました。

木や自然と私の心が一体になったようでした。