糞掃衣完成7 袈裟・縫い合わせ緯方向 の続きです。

27枚のユニットを全部縫い合わせ、縦125cm×緯210cmの袈裟の表側が完成したら、次に裏地をつけます。

教本にした「袈裟の研究」には、 ”裏地の四方の縫い代を折り曲げ、表地の裏へあてて、くけておく” とありますが、私は以前「お袈裟を縫う会」で、九条帖葉衣を縫った時習った方法で裏を付けました。

先ず、裏地にするシルクオーガンジーを、原寸大に縫い代を加えた大きさで準備。

その上に縫い上がった表側を広げます。

平均に歪みがないように丁寧に、オーガンジーの裏地と縫い合わせた表側を重ねます。

1-表地、2-表地と一緒に刺し子縫いされた芯地、3-裏地。

重ねた表側と裏地が動かないように、全面にシツケをして止めます。

裏地側から見るとこのような具合です。

袈裟の出来上がり寸法にチャコで印をつけます。

そして外回りの額縁になる「縁」と呼ばれる細長い布を4本準備します。

額縁の「縁」の生地は、ユニットを繋いだ縫い目の上に付けた「葉」と同じ生地を使います。

裏を表にして作業台に広げ、出来上がり線にそって額縁になる「縁」置き、待ち針を打ち、シツケして止めます。

そして「縁」の際を返し縫いで一針一針縫って行きます。

これは「却刺」と呼ばれる、袈裟縫いに使われる特殊な返し縫いです。

お釈迦様の時代、最初は袈裟も普通の縫い方だったようです。

「袈裟のはなし」久馬慧忠著に ”古い文献によれば、仏弟子の舎利弗さまが、大衆の前でいたずらされ、糸目を引き抜かれ、立ち上がった瞬間に、袈裟がパラっとほどけて地に落ち、裸身をさらけ出し、大変恥をかいたことがあったようです。それが因となって、より丈夫にするためにと返し針で縫うことが定められました” とあります。

↑これは別の袈裟を縫った時の写真ですが・・・「却刺」という返し縫いは、表に見える針目はこのくらいです。

以前「お袈裟を縫う会」で「袈裟の功徳」というDVDを頂きました。その中で尼さんが、「却刺」の表に見える針目の大きさを「ケシの実くらい」と説明され、私はそれを聞いて冷凍庫にあった「ケシの実」の袋を開けてつくづく眺めた記憶があります。

↑裏はこのようになります。これを一針一針延々と縫って行きます。

裏地に「縁」を全て縫い付けたら、「縁」を表側に倒し、もう片方の「縁」の際を「却刺」して行きます。

最後に四隅を額縁になるよう折りたたんで整え、シッカリ「却刺」します。

さらに「縁」の真ん中をグルっと一周「却刺」します。これで「縁」は3本・三道で縫われた事になります。

そして「縁」のコーナーと表地の境に「角帖」と呼ばれる補強のための布を「却刺」し、終了です。