3月31日の仕事場

袈裟制作の資料の整理が出来てスッキリ! 私の頭もスッキリ片付いて、4月1日からの新しいスタートの準備完了です。

3月3日に婚家の菩提寺に完成した糞掃衣を寄進した翌週は目の手術。その後私は目の事にかかりきりで、糞掃衣完成後の仕事場の片付けや資料の整理が出来ないまま3月が終りそうでした。

4月1日に新たなスタートをしたかった私は、奮起して月末ギリギリに写真をプリントしに写真屋さんへ行きました。通算5年間の袈裟製作で撮った写真は何百枚もあり、全部に目を通し、プリントしておいた方が良さそうな写真を選ぶのは大変でした。

選んだ写真は約300枚、日付順に写真をファイルすると、こんがらがっていた頭が整理され、各工程がリアルに思い出せ、作業メモや描いた図も自然に整理が出来て行きました。

作品を制作し終えると、自分はもぬけの殻になり、制作した作品は過去のものになってしまいます。なので制作工程の写真・記録・資料の整理は、自分の過去を振り返って記録する、面倒で億劫な作業です。

でもこれを直ぐにしておかないと、あっという間に忘れてしまい、2度と同じものを制作出来なくなってしまいます。

今回の制作に次回は改良を加えたいと思っても、データ・資料・記録・写真がないとそれが出来ません。仕事の経験が蓄積にならないのです。

私の5年間の袈裟の勉強は、ご覧の様に6冊のファイルになりました。

お寺では型紙は使用しないのですが、私の場合手元にある布で足りるかどうかギリギリだったので、原寸大型紙を沢山作って裁断。型紙を入れる大きな封筒も作って保管です。

縫いに1年、材料の準備を入れると1年半以上かかった「糞掃衣」、その一式はこの桐箱に納めてお寺に寄進しました。

この桐箱は「お袈裟を縫う会」を開催している、三島のお寺の住職様が下さったものです。

住職のお父様が親しかった僧侶の葬儀の引き物、時代物の箱です。箱の内側に焼き印があったので、それを「お袈裟を縫う会」にいらしているKさんの知り合いの大工さんに頼んで、全面を削り直し新品同様になりました。

袈裟だけでなく箱も古いものを使えたのが、とても嬉しく幸せでした。