「私の織った織物を服にして、お世話になった方々にプレゼントしよう!」と、決めたのが7月末・・・「本藍染の手織りの布が生きる服って、どんな服なのだろう?」と、改めて考えています。

手織りの布と機械織の布の一番大きな違いは、織る時の糸のテンションだと私は思います。手織りでは織機にセットしたて縦糸のテンションは機械織と比べてゆるく、緯糸も杼をユックリ投げて緯糸を弧を描くように織り巾より少し長めに織り込みます。つまり縦糸と緯糸が余裕を持って立体的に交差した布になり、フックラとして空気を含み弾力性のある布になります。

機械織は織機にセットした縦糸のテンションは高く、緯糸は高スピードで投げ込まれて織ります。高速で織るには縦糸も緯糸も針金のようにテンションを高くしないと織れないのです。このように高いテンションで織られた布は平たいパリッとした布になります。

機械織でも杼が往復して緯糸を入れるのは旧式で、緯糸が往復するのではなく、空気や水を使って緯糸を一方向から入れて織る方法(緯糸が往復しないので布の耳がない)もあります。これはより高速で織れるので、大量生産と大量消費向きです。

産業革命が普及する前、未だ手織りの布が日常的に使われていた頃の庶民の衣服は?

と、考えていて、思い出したのがこの写真。

19世紀のスエーデンの鉄工所で着用されていた、鍛冶工員のシャツ・・・

シンプルな直線裁ちのシャツです。

この「鍛冶屋のシャツ」は、1978年に買ったこの「シャスティンさんの服づくり」に紹介されていました。

今回このシャツについてインターネットで調べると、今もオークションに出ている事もあり、手織りの木綿が使われているらしいのが分かりました。そこでスエーデンの古いシャツを調べていて、見つけたのがこれ・・・

「Skjortor・シャツ」、スエーデンのノルディスカ・ミュージアムから1979年に発行された小さな本です。

スエーデンのアンティークショップのサイトで見つけ、注文して1週間で到着。

真ん中のイラストが鍛冶屋のシャツと似ています。

シャツの写真やイラストと

それらの詳し製図が紹介されています。

刺繍が施されているシャツもあって、その詳しい図案も添えられています。

上記の刺繍の1822年頃のスエーデンの庶民の衣服を調べてみたら、それはブリューゲルの絵にある農民の衣服に近い世界。

この200年間で私達の衣服は本当に劇的に変わったのですね~

この「Skjortor・シャツ」の裏表紙にあったこの図、シャツの裁ち方です。

これを見て私はハッとしました。

今まで他のスエーデンの古い民族衣装を調べていて気になっていた事が、この図を見て分かったのです。

この切り替え、

片袖にこのように切り替えがある衣服が、他にも多々あるのです。

どうしてここにあるのかが長い間分かりませんでした。それがこの織幅70cmの手織りの布で無駄なく1枚のシャツを裁つためだったのです。

200年前のスエーデンでは手織りの布は貴重品で、このように無駄なく裁断され、大切に使われていたのです。

私達日本人の民族衣装「着物」も、1反の着尺地を無駄なく裁断して作ります。

200年前頃までスエーデンでも日本でも、布は無駄なく有効に使われて衣服となっていたのを再確認しました。