今週はじめ、倉庫の奥から思い切って出してた木箱。

100年以上前のお膳が入った箱です。2箱あるうち一つは元旦の来客時に出して手入れしたのですが、もう一箱の方は10年以上使っておらず倉庫の奥に置きっぱなしでした。漆器は長い間使用せず乾燥しきってしまうと割れたり剥げたりしてしまいます。以前お屠蘇のセットを暫く使っていなかったら、見事に割れてしまったので、手入れしなければと気になっていたのです。

10年以上ぶりに開けた箱、薄紙で一つ一つ包んで仕舞っておいたのですが、大丈夫でしょうか・・・

薄紙を開けると、割れたり剥げたりしておらず、カビも生えていませんでした。

全部無事でした。

全部重ねてもガタピシせず、きっちりと納まります。昔は狂わないよい木材がまだあったのと、時間をかけてゆっくり作ったからなのでしょう。畳にこのお膳を置いて正座して食事をした人達は着物を着ていたのでしょう。

出した漆器は、ぬるま湯にくぐらせて、

やわらかい布で静かに洗います。漆器が水分を吸う音がして、漆も木も生きているのを感じ、愛おしい気持ちになります。

ぬるま湯で洗った漆器は、水切りカゴで自然乾燥させるのでなく、柔らかい布巾で丁寧に磨くように拭き上げます。昔は絹生地を使って更に磨いたと聞きましたが、私は木綿の布巾で拭くだけです。Mさんが手伝ってくれました。

実は先日お客様がありました。それで思い切ってこのお膳を出して、菜食のお節料理をもう一回頑張って作ったのです。

お重も元旦に使ってから、来年まで使うつもりはなかったので、丁寧に洗って薄紙に包んで木箱に入れて倉庫に仕舞ったのですが、また出して使いました。

このように古の器を手にすると、食事、特に会食は、食べるだけではない事を思うようになります。食べ物への感謝、食材への敬意、今こうして生きて集える事への感謝・・・ それで器を扱うのも、料理をするのも、細心の心配りでするようになってしまいます。

総勢12人のお節料理の会食、お重箱はほとんど空になりました☆

毎日の食事は簡単に済ませても、たまには行事料理を手抜きしないで心をこめて作ってみるのは、甲斐がある事だと思いました。