私のアトリエの白い壁の、上の方に、一枚の写真が貼ってあります。 大好きな蓮の花、ロータスの写真です。 長い間貼ってあるので色あせていますが、ふと見上げては、その清らかな響きに癒されています。

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先日の大雨の日、私は用事があって1泊で首都圏に出かけていました。 栃木県や茨城県に大雨特別警報が発令されていたその頃、私は東高円寺にあるベジタリアン・レストラン 「ロータス&フラワーズ ワン」 でお友達と食事をしていました。 朝天気予報を聞いて、この約束を延期した方がとも思ったのですが、電車は遅延しているだけなようなので、出かける事に決めたのです。 そのレストランは、ベジタリアンのそのお友達推薦のレストランでした。

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偶然お友達と同じ電車で、駅から一緒にレストランへ向かった私たちは、予約時間より早くお店に到着しました。 お店の前で彼女とお喋りして分ったのは、レストランのオーナーシェフの奥様は彼女の友達で、私も勉強したマクロビオティックのスクールの卒業生と言う事でした。 レストランは2階にあって20席ほど、オーナーシェフがほとんど一人で料理を作っていらっしゃるのだそうです。

ランチは、コース、メインディッシュセット、それにパスタ・セットなどがあり、どれも美味しそうで迷ってしまいます。 契約農家さんからの新鮮な有機野菜、自家製のパン、玄米ご飯まであります。 沢山食べると味を忘れそうな気がして、スープとサラダなどが付いたメインディッシュセットに決めました。

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最初に登場した旬野菜のスープは「カボチャのポタージュ」でした。 一口飲んでビックリ、パンチの効いたニンニクの香りがします。 塩味もしっかりあって生き生きとしたコクのある味です。 マクロビオティックやベジタリアン料理は概して薄味でメリハリがないものが多いので驚きでした。 こんな味付けをするシェフの次のお料理が楽しみになって来ました。

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有機野菜のサラダ

一口食べて、はじけるように生き生きした野菜と、それを更に生き生きさせているドレッシングに、私は飛び上がるくらいに感動しました。 一つ一つの野菜は細心の注意で扱われ盛りつけられています。 シェフの野菜に対する心が伝わって来ます。

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見て美しいだけでなく、食べても美味しい。 こんな素晴らしい野菜を、外で食べたのは初めてではないかと思いました。 口だけでなく私の体の細胞があっちこっちで喜んでわきたっているのを感じました。

サラダに感激していると、注文していないお料理が運ばれて来ました。 シェフからのプレゼントで、夜のコースの一皿との事。

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「ユリ根のコンフィ」 あやめ蕪が添えられています。 おせち料理にしか使った事がなかったユリ根が、こんな素晴らしい前菜に。 揚げるようにじっくり火を通したユリ根は甘くてコクがあります。 これはユリの命そのもの、恐れ多いような気がして一片ずつ大切にいただきました。

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私の選んだメインは・・・当店初めての方にお薦め・・・とあった 「絶対美味のハンバーグ」 ☆ベジタリアンのハンバーグですが、味、テクスチャー、コク、ボリューム、全てが素敵なバランスで美味しく、肉が好きな男性でもきっと満足の一皿でした。

隣のテーブルの方のケーキを見て、私達もお食後のケーキを注文してしまいました。

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ガトーショコラ

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旬の果物のタルト

サラダも別盛りにして下さり、前菜のプレゼントまであって、考えればコース料理をいただいてしまったのでした。 普段は沢山食べられない私なのに。 この材料、この手間、このセンス、プロが作る本物のベジタリアン料理、レストランの料理です。 「自分では作れないし、家庭料理でないから、食べに来たい」 そう思えるお料理でした。

見かけだけで中身のないベジタリアン料理、マクロビオティックには忠実だけれど魅力のない料理、材料はよいかもしれないけれどセンスや技術が今一つの料理。 外で満足のゆくベジタリアン料理をいただくのを半ばあきらめていた私だったので、ここのお料理をいただいて感動してしまいました。

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愛を持って大切に育てられた材料を使い、繊細な注意深さで心を込めて丁寧に作られたお料理は、味も美しさもエネルギーも違います。 食べた人は心身ともに癒され、生き生きしたエネルギーを取り込めるのです。 高い場所代や人件費、心をこめたレストランの経営はとても難しい時代だと思います。 「ロータス&フラワーズ ワン」のお料理が多くの方に知られ、ロータスの花が大きく開花し、その花が実を結んで、沢山の種が播かれ、あの町にもこの町にもこんなレストランが出来たら、どんなに素敵か、、、  どんなに人々は癒され、健康になり、幸せになれるか、と思いながら、お店を後にしました。

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