前回ご紹介した、体質強化の養生料理”キンピラ牛蒡”の詳しい作り方です。

このキンピラは、材料をただ炒めるのではなくて、陰陽の考えに基づいた方法で火を通す「重ね煮」と言われる煮方で作ります。

重ね煮は、自然界の全ては陰性・陽性の属性に分けられるという考えが基になっていて、食材の陰陽を上手に利用して素材の味やパワーを引き出す調理法です。

根菜は下に向かって伸びる求心力で成長し、身体を引き締める「陽性」。葉菜は上に上に向かって伸びる遠心力で成長し、身体をゆるめ冷やす「陰性」。

より陰性の素材を鍋の下に、より陽性の素材を鍋の上に重ねて、火にかけます。すると鍋の中で上に向かう力と下に向かう力が影響し合って対流が起き、陰陽が調和し、優しく甘い、まろやかな美味しさになるのです。

鍋にごま油と牛蒡(アク抜きはしない)を入れ火にかけ、途中差し水をしながら蒸気でゆっくりウオーターソテーして、牛蒡の土臭さが消えて良い香りになり、八分通り柔らくなるまで、返しながら火を通します。

牛蒡を鍋の端に寄せ、空いた部分に蓮根を入れ水を少々入れながら煮ます。

矢印は蓮根の節の部分、ここが一番薬効があるので、薄切りにして使います。

蓮根が透明になるまで火を通します。

蓮根を鍋の端に寄せ、空いた部分に人参を入れ

その上に蓮根を被せるように広げ

蓮根の上に牛蒡を被せるように広げます。

蓮根と人参の陰陽度の差は微妙なのですが、人参がより陰性として鍋の一番下に、次い蓮根、そして一番陽性な牛蒡を一番上にして、蓋をして重ね煮とします。

人参に9分通り火が通ったら、醤油を2回に分けて加え混ぜ合わせ、煮切ります。

味付けはお醤油だけなのに、自然な甘さと旨味で素晴らしく美味しいキンピラ牛蒡です。玄米ご飯にこれだけでも満足なほど! 味は付けるのではなくて引き出すのだという事を、私はこの作り方から学びました。