サクッとした、粉と乳製品の美味しさが、口の中でくずれるように広がるスコーン。 そのスコーンをバターも、牛乳も、クリームも、卵もなしで、どうやって作ればよいのだろう? その上、マクロビオティックを勉強してからは、お砂糖やショートニングの怖さも知ったので、それらもなるべく使わないで。

最初は一番プレーンな粉とバターと牛乳だけで作るスコーンを、植物油と豆乳で作ってみました。 出来上がったのは、豆乳の匂いが気になる、ふんわり優しい美味しさがない、お饅頭の皮みたいなスコーンでした。 バターや牛乳には美味しさと酸味があるのです。 イギリスやアメリカのveganのスコーンやマフィンを調べると、豆乳にレモン汁を入れて使うレシピが多いのに気づきました。 豆乳が酸でとろっとして牛乳やバターミルクのようになるのです。 この場合さらにベーキングパウダーだけでなく、ソーダ(重曹)を一緒に使うと、酸とアルカリが反応して、ふんわり焼き上がるのです。

テクスチャーはこれで解決したとして、問題は味と香りです。

バターや卵が入らないと味と香りがありません。 それで普通veganのお菓子にはナッツを入れたり、シナモンやナツメッグなどのスパイスを加えて味と香りを補います。 私はナッツやスパイスが入らないスコーンが作りたいなーと、思いました。

そんなある日、お友達のKさんが大きな袋を持って我が家にやって来たのです。 袋の中からは、素晴らしく美味しそうなパンが次々と現れました。

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パンが大好きな私達のために、湯河原で途中下車して、そこにあるパン屋さん BREAD & CIRCUS に寄って来たとの話。 聞けばそのパン屋さんは有名で、お店が小さいので入場制限をしていて、Kさんは雨の中1時間半も外に並んで、このパンを買ったのだそうです。 私はKさんのお心に感動して、食べて消えてしまう前にパンの写真を全部撮っておこうと思い、この写真を撮りました。 2年以上前の事です。

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どれも本当に美味しかったのですが、その中で特に印象が残ったのはこのスコーンでした。 レモンとジンジャーの香りがする、牛乳ではなくて生クリームを使った超リッチなスコーン。 このスコーンをVeganバージョンで作ってみよう! このレモンと生姜の香りなら、豆乳の匂いも気にならないかもしれない。

それから試作が始まりました。

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そして半月後には、ほぼ満足のゆく レモン&ジンジャー・スコーン Vegan バージョンが出来ました。 丸く型で抜くと、種をいじる回数が増えて固くなるので、三角に包丁で切るだけの形にしました。

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クリームやジャムをつけなくても、そのままで美味しいスコーンです。 コーンミールの黄色とその味が、卵入り風です。 豆乳の匂いはレモンと生姜の香りで、全然気になりません。

このスコーンが生まれるまでのお話を是非したかったので、今日はイントロだけになってしまいました。 次回にレシピと詳しい作り方をご紹介します。