勝手口から1階に降りる石段の脇の百合が咲きました

百合の花を見ると、小さいころ母が「谷間の百合と言うくらい、百合は日影に咲くのよ」と教えてくれたのを思い出します。

私の織物の仕事場として建てたここ伊豆の家は山の北斜面にあります。北斜面をわざわざ選んで建てたのは、織物作業がしやすい安定した北からの光を得るため、つまり太陽が余りあたらない日陰にある家なのです。

以前は季節になるとその香りにむせそうなくらい山には百合が沢山咲いていました。でも近年は鹿や猪が百合の根を食べてしまい本当に少なくなりました。

そして日陰が大好きで鹿も猪も食べないのが苔です。

放って置けば2~3年でこんな風、風情があってという見方もありますが・・・

苔が生えると掃き掃除も水洗いも出来なくなり、苔のクッションの上に飛んで来る土や花粉などが積もり、それが温床となって苔が増々元気に厚くなり、何時もジメジメするようになり、湿り気が好きなムカデや変な虫の住処となるのです。

Mさんが体調を崩したここ数年、外回りの掃除をしっかり出来なかったので家の周りは苔の天国になってしまいました。それで思い切って高圧洗浄機を買って苔取りを始めました。この機械がスゴイ威力で驚くほど苔が取れるのが分かったので、お天気、体力、時間とにらめっこしながら、このところずーっと苔取りを続けていました。

それが一昨日一応終わったのです! 見て下さいこの清々しさ☆

石垣や側溝がこんなに白かったとは! 少しずつ黒くなり苔が育って来るので、取ってみて初めて苔の量と、苔の生える前の石垣の色に気付きました。

下の石垣も過去に何度もクワで剥がして捨てていたのですが、あっという間にこんな風です

苔が厚くなっている部分は、厚さが3センチくらいになっていました

それが・・・

こんなに綺麗になりました! 剥がれて集めて捨てた苔は全部合わせればバスタブに3杯あったと思います。

強力な助っ人の高圧洗浄機を使っても作業は楽ではありません。作業着、長靴、高性能マスク、曇らないゴーグル、帽子を着けて完全防備で臨みます。頑固にこびりついた苔を剥がす高圧洗浄機なので、空圧と水で崩れた苔がしぶきとなって飛び散り頭から足の先まで苔だらけで真っ黒! 蒸し暑い中の完全防備なので汗だくです。

苔だらけになるのは自分だけでなく、周りにある植物にも飛び散るので、苔を落とした後、高圧洗浄機のノズルを取り替え、植物を傷めないように飛び散った苔を丁寧に洗い流します。

終わった後の石垣や側溝の爽やかなこと! 明るくなって周りの植物まで気持ち良さそうに見えます。嬉しくて一日に何度も見に行ってしまうほどです。どうしてこんなに気持ちが良いのだろう?と、また考えてしまいました。

苔を落とすというこの作業が、自分の中の苔を落とすという事とダブっている気がするのです。光が当たらず風通しが悪くてジメジメしていると生える苔は、自分の中に気付かないうちに発生しこびり付いているネガティブなものと似ている気がします。なので風と水で苔を吹き飛ばし洗い流すのが、自分をも掃除している気持ちになるのです。

苔取りが一応終わりました。爽やかに清々しく夏を迎えたいと思います。