昨年の11月、Mさんが畑のあちこちに播いたライ麦が、今は2メートルくらいになって風にそいでいます。

<広いライ麦畑で遊んでいる子どもたちが、気付かずに崖っぷちから落ちそうになったときに、捕まえてあげるような、そんな人間になりたい...>が主題となっている、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」。 それを読んでライ麦畑ってどんななのだろうと想像した昔、でも今の私はライ麦が大人も隠れるほど背が高いのを知っています。

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まだ青々としている上の畑のライ麦

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穂もまだ膨らんでいません

そのライ麦を、私達は食べるためでなく、緑肥として育てています。
最初は食べてみようと考えたのですが、少量を脱穀して外側の皮を取って粉にするのは難しいと分かり、次の年食べるのを諦めたモミを播いてみたら、買った種モミよりよく発芽したのです。 それで、それから毎年秋に空いている畑にライ麦を作るようになりました。

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下の畑のライ麦を刈りました

 

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刈った葉も、土に残った根も肥料になります

 

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穂が熟す前に刈ってしまうのが可愛そうな気がします
でも土にかえって別のエネルギーになって生きて行くのです

 

織物の展覧会でフィンランドに滞在していた時、展示会場のスタッフの一人のお弁当は毎日チーズを一切れのせた黒パン(ライ麦パン)でした。 その訳を尋ねると「フィンランドは寒くてライ麦しか作れない、今はどんなパンでもあるけれど、ライ麦パンは食の基本、毎日食べても飽きない。」と、話してくれました。

寒さに強いライ麦は、冬の間殆ど肥料なしで育ち、ほかの野菜を寒風から守ってくれます。刈り取った茎は野菜を乾燥や病気から守る敷き藁として使え、残った根は土の中で腐って有機物となり、豊かで健康な土を作ってくれます。 夕日の中でサクサクとライ麦を刈りながら感謝の気持ちがあふれてきました。 作業が終わって腰をのばすと、 春菊の花が夕日を浴びて輝いていました。

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