アトリエのテーブルの上にある、制作中のこれら・・・

何でしょう?

長年の夢だったものを、この2月から習い始めているのです。

10年以上前に、フランスのリヨンの装飾美術館で買ったこの本、

この本が全ての始まりでした。

「18~19世紀の日本の袈裟」

それまで私は「袈裟」について何も知りませんでした。

袈裟は1枚の布で出来ているのではなくて、小さい布をパッチワークのように縫い合わせて出来ているのです。

それも新しい布でなくて、古くなった布の良い部分を切り取って、それをはぎ合せて作られています。

なので、18世紀に制作された袈裟に使われている布は、それよりも何十年も前に織られた布だったりします。私は模様織の歴史が専門なので、これらの古い袈裟は織物の歴史のようで、見ていて飽きることがありません。枕元にこの本を置いて、寝る前に袈裟の写真を見るは私の楽しみの一つでした。

故人が愛した着物で袈裟を縫い、それをお寺に奉納する事もあったようで、そんな袈裟の裏には小さく畳んだ布が着けられていたりします。

それを開くと・・・

こんな風に、故人の戒名や、それを奉納した人、その年月日が書かれていたりします。

私は「棺衣」を織っていますが、驚いたことに日本の「棺衣」の原点は袈裟だったのを知りました。私の袈裟を縫ってみたいという思いはつのるばかり、それでこんな本も買ってみました。

袈裟の歴史、種類、縫い方、用い方、色々書いてあります。

でも・・・

手に取って見たことがないものを、この本だけを見て作るのはとても無理。袈裟を縫うのは夢で終わていました。

ところが昨年、ひょんなことで禅僧の方と知り合い、自己紹介の時私の夢を話したのです。すると「知り合いのお寺で袈裟を教えている、来週そこへ行くので紹介します」とのお話。驚いたのは、そのお寺は私がインターネットで検索してた「袈裟を習えそうなお寺」の一番候補のお寺だったことでした☆

茶色いのが最初に縫った麻の袈裟、藍色のは30年以上前に私が織った木綿の布で縫った袈裟、金茶色のはアンティークの生成りの反物を「やまもも」で染めた絹の袈裟です。

この小さい袈裟は「絡子」と呼ばれている簡易的な袈裟です。今から「七條袈裟」というもっと大型の袈裟にとりかかるので、今そのためにアンティークの反物を草木染しています。

長年の夢が現実のものになって、私は嬉しくて幸せいっぱいです☆